たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
* * *
─── どれだけ眠ってしまっていたのかは、わからない。
気が付いた時には手に持っていた携帯電話の時刻が17時半を記していて、ああ、もうそんな時間か、と。
もしもここに先輩がいたら、暗くなる前に図書館を出ないと、って言うだろうなぁなんてことを考えて、眠りから冷めても押し寄せてくる悲しさに胸が苦しくなった。
だけど、こんな風に苦しくなるのも今日で終わり。
(……もう、帰らなきゃ。先輩と、サヨナラしなきゃ)
そう思いながらも、机に突っ伏したままの顔を上げることが出来ない。
このままここにいれば、先輩とサヨナラなんてしなくて済むのに、なんて。
そんな小さな子供のようなことを考えて、私は未だに靄の掛かっている思考を晴らすように、ゆっくりと顔を上げた。