たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「……と。まず、先に。一つ、謝らせて」
「(……え、)」
「今朝拾ったこれ、つい出来心で中を見ちゃったんだ」
「……!!」
「ごめんね?」
だけど、そんな私の疑問はすぐに解消された。
そう言われて落とした視線の先。そこには、彼の綺麗な手に乗った私の生徒手帳があった。
「朝、キミが落としたのを拾って。それで……返すために、待ってたんだ」
(この人が……。そっか。それで、私の名前……)
心の中で納得の言葉を零し、彼から生徒手帳を受け取った。
不意に触れた手の温度は冷たくて、思わず彼と生徒手帳を交互に見ると、彼は何故だか困ったように眉を下げた。