たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


【わざわざ届けてくださって、ありがとうございました】



そして、いつも通り。

たった今、口パクで伝えたつもりの言葉を、私は素早く文字として打ち込もうとしたのだけれど───



「……どういたしまして、」


「(……え、)」



不意に、携帯を持っていた手に、先ほど触れた彼の冷たい手が重なった。


それに驚いて、携帯に落としていた視線を上げて再び彼を見つめれば、視線の先の彼は柔らかな笑顔を浮かべて私のことを見つめていて。



「ちゃんと、伝わった」


「……っ、」


「キミの声、俺にはちゃんと聞こえたよ」



まるで春風みたいなその言葉に呼応するように、私の心臓は小さく音を立てた。


 
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