たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
君に贈る。
 






─── 目まぐるしく通り過ぎた季節は、心に温かな愛を残す。


再び訪れた季節は、新しい声を私の心に運んでくれる。



「……あ、待って、」



温かい春の、木漏れ陽の下。

私の膝の上で寝息を立てる愛しいその人が広げた本の間から、あの日、私が贈った小さな“愛”が、零れ落ちた。


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