たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「……あ、そうだ」
「(え?)」
「さっき返した生徒手帳、もう一度貸してくれない?あと、出来ればペンも」
突然何かを閃いたらしい彼が、優しく目を細める。
そんな彼の言葉に驚きつつも、私は胸ポケットにしまった生徒手帳を慌てて取り出すと、鞄の中に転がっていたペンを拾い、彼の手に乗せた。
すると、「ありがとう」と、再び優しく笑った彼が、その生徒手帳の1ページを開いてサラサラと何かを書き出した。
(……何を、書いてるんだろう)
「……うん、これでいいかな」
だけど、彼の行動の意図を思いつく間もなく生徒手帳は再び私に返された。
開いたまま渡された生徒手帳。
受け取って、彼が何かを書いていたページを見て、思わず目を見張った。