たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「ふーん、そうなんだ。でもまぁ、アキがそう思うなら、そうかもね」
「やっぱり!?俺もさ、“なんで、そんなに気にすんの?”って聞いたら、あいつは“別に、ただ視界に入ってきただけ”って言ってて……でも本当は、その子のこと気になってんじゃないの?って思ったんだけど……」
アキの言葉を聞きながら、俺は自分の席へと腰をおろした。
……サッカー部の奴がどこの誰なのかは知らないが、そいつが直接俺に聞いてこないって時点でほぼ答えは出てるようなもの。
一度目の時に、アキはそいつに説明をしておいたと言っていて、普通であればそこでこの話題は終わりだ。
栞づてに女の子を紹介してほしいと頼みたいなら、もうとっくに俺なんかより仲のいい、本当に彼女持ちのアキに頼んでいるだろうし。
あ、栞の友だちに気がある……なんてことも考えられなくはないか。
それでもそいつがこうもしつこく俺と栞のことを嗅ぎ回るのは、ほぼ間違いなくそいつが、栞のことを気にしているからだと言ってもいいだろう。
(……そうじゃなかったとしたら、本当に俺のことが好きとかね?)
「まぁでも、普通に付き合ってないって言っといてよ。事実だし」
だけど、そんな臆測という名のほぼ確定な事実を、アキに伝えるつもりはなかった。
だって、お人好しのアキは、その事実が明確になればなるほど板挟みになるはずだし、一人で悩むはずだ。
そんな風にアキを振り回すのはごめんだし、大して話したこともない、関わりもないそいつに義理立てする理由は一つもない。