たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
* * *
帰りの電車で栞と同じ時間になることは、あの日以来一度もなかった。
と、いうのも放課後、学校が終わると俺はアルバイトに向かわなければいけない日が多いから。
栞が帰る時間が何時なのか……というのを別に聞いたわけではないけど、学校が終わってすぐに駅に向かう俺とは微妙にズレているんだろう。
(行きも帰りも同じ電車……なんていったら、本当に付き合ってるみたいだし?)
栞のことを、もっと知りたいと思ったのは事実。
栞と、もっと話したいと思ったのも本当だ。
ただ、そこに恋愛感情があるのかといえば、それは違うと言い切れる。
例えば付き合っている彼氏彼女が相手に抱くような、独り占めしたい、手を繋ぎたい、今すぐ会いたいと願う、そんな焦がれるような思いを抱いているわけじゃない。
栞という女の子を、自分のものにしたいという欲求を持っているわけじゃないから。
そう考えれば、俺は栞と友達になりたかったのか?なんて、そんな今更な疑問を自分に投げかけつつ、俺はその日、学校帰りに家の近くの図書館へと足を運んだ。