たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
* * *
(……電車を出る頃には、ぺっちゃんこになってるんじゃないのかな、私)
けれど飛び込んだ先の満員電車は、私の予想を遥かに超える窮屈さだった。
さっきから、泣きたくなるほどに押される身体。
抗う事も出来ずに、身体は電車のドアへと押しつぶされる。
なんとか鞄を抱えて最低限レベルの、身体の密着だけは回避してみたけれど、それでも他人の呼吸さえ気になる距離感。
満員電車の洗礼を、初日から嫌と言うほど味わっていた。
(……これから毎朝、この電車に乗らなきゃいけないのかぁ)
もう……初日から、めげそうだ。
だけど、チラリ。
ふと水面から魚が顔を出すように、息苦しい中から顔を上げれば、一瞬、隣の人と目が合った。