たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「えー、何々?栞の知り合いの人?」
「(う、うん……っ、)」
「へぇ、そうなんだ。初めて聞く名前ー」
私の前の席に座るアユちゃんは、言いながら私が会話しやすいように、さり気なく手元にノートを開いてくれる。
そんなアユちゃんを前に、私は自分の顔が熱を持っていくのがわかって思わず隠すように視線を下に落としてしまった。
だ、だって……!まさか、突然先輩の名前が飛び出すだなんて、思ってもみなかったから……!!
というか、なんで蓮司が先輩のことを知ってるんだろう……!!まさか、エスパー……!?
「……お前、なんでそいつと毎朝一緒に来てんだよ」
「えっ?」
「─── 、」
「お前とそいつが2ヶ月前くらいから、ほぼ毎朝同じ電車で同じ車両に乗ってる……って。中学ん時のサッカー部の先輩が、一昨日の大会で会ったとき、俺に言ってきたんだよ」