至上最強の総長は私を愛しすぎている。~DARK NIGHT~【番外編】
お兄ちゃんを連れて行った、黒い服の大人たちの背中を睨む。
……大人なんて大嫌いだ。
僕とお兄ちゃんを引き裂く大人なんてっ……。
お母さんは優しかった。
だけどいつも、『お兄ちゃんの邪魔はしてはいけません』そう言って、お母さんもお兄ちゃんには、あんまり近寄ることはなかった。
お兄ちゃんがお母さんに甘えてるとこを見たことがない。
僕ばっかりいいのかな。
お兄ちゃん、さみしくないのかなって、ちょっと心配してた。
見えなくなったお兄ちゃんの痕跡を未だ目で追い、そこに立ち尽くしていると。
「……和希」
僕を呼ぶ声が聞こえた。
お兄ちゃんのことは大好きだけど。
……僕は、この声が一番好きかもしれない。
「テルさん……」