四百年の誓い
 「そういうのは、都市伝説の領域だよ」


 美月姫を安心させるかのように、優雅は微笑んだ。


 「美月姫に危害を加えたら、唯一の男子である俺が反発して家を飛び出すんじゃないかって幹事長は恐れている。だから滅多なことはできないだろう」


 結婚までの一時的な交際相手として分をわきまえ、おとなしくしていれば、丸山幹事長も何も言わないだろう。


 だが美月姫が優雅をあきらめきれず、さらに大それたことを望むようになったら?


 ……その時はただではすまないだろう。


 怖い。


 だが美月姫が怖いのは、丸山幹事長の報復により消されたりすることよりもむしろ。


 優雅なしで生きなければならない日々が、いつか訪れることだった。


 ただし。


 出すぎた真似をしなければ、当面は優雅のそばにいられる。


 条件付きではあるけれど。
< 100 / 395 >

この作品をシェア

pagetop