四百年の誓い
 古い家の立ち並ぶ、静かな住宅街を歩いていた時のことだった。


 背後から黒い大きな外車が猛スピードで美月姫に迫ってきた。


 「危ない!」


 ぶつかる距離ではなかったが、思わずよけてしまった。


 車はそのまま通り過ぎていった。


 (ガラスにスモークの入った、最高級のベンツ。……ヤクザ?)


 美月姫は関わりたくないので、その車の進行方向には歩いていかず、さらに一本内側の住宅街の小路を目指した。


 するとベンツが方向転換して、戻ってきた。


 (何なのあの車)


 自分の方に向かって来ているような気がして、美月姫は小走りで逃げ出した。


 通りすがりにいちゃもん付けられたり、ナンパされるのは迷惑だと思ったからだ。
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