四百年の誓い
***


 「忘れさせてくれるのなら、それだけでいい」


 「美月姫」


 「私を離さないで……」


 美月姫は静かに目を閉じた。


 「だめ?」


 「美月姫が望むようにしてあげる」


 「……」


 ……ようやく会えた二人。


 何よりもまず、互いのぬくもりを求め合った。


 (何もかも忘れたい……)


 突然、丸山乱雪が目の前に現れたあの日以来。


 美月姫はずっと、誰かに尾行されているような恐怖と、監視され続けているような居心地の悪さから逃れられずにいた。


 見えない鎖のような支配。


 全てから解放されたかった。


 ようやく優雅が北海道に降り立ち、美月姫に会いに来た。


 待ち合わせの場所で、人目も気にせず泣き出してしまった。


 会えなくて一秒さえも苦しいような日々。


 そんな寂寥感からようやく自由になれた。
< 129 / 395 >

この作品をシェア

pagetop