四百年の誓い
 ……。


 「それにしても予想外だった。まさか幹事長がこんなに素早く……」


 嵐のような時を越えて、二人に久々の安らげる夜が訪れた。


 静けさに包まれた部屋の中、美月姫をそばに感じながら、優雅は語り出した。


 「美月姫の前に、いきなり現れるとは」


 直々のご出陣。


 優雅も驚きを隠せなかった。


 与党、すなわち巨大勢力において権力を掌握している幹事長・丸山乱雪。


 所属議員も非常に多いので、とても下々の議員にまでは手が回らないのが現状。


 そういう場合は代役として、配下の議員や秘書を派遣するケースが大部分。


 「なのに俺のことで、幹事長が直接美月姫に会いに来たなんて、今でも信じられない」


 「だって……、優雅くんは丸山幹事長の大事な、跡取り息子でしょう? 息子の一大事とあらば、親として当然自ら」


 「幹事長は、俺のことを息子として大切にしているわけではない」


 優雅は断言する。


 「ただの後継者……それだけだ」
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