四百年の誓い
 ……。


 「そういえば幹事長、こんなこと言ってたな」


 午前二時。


 ベッドから起き上がった優雅は、外の景色を確かめる。


 真夜中の街並みはネオンもだいぶ消えているので、少し暗い。


 辺りは濃紺の闇。


 二人がしばらく夢中で抱き合っていた間に、どれくらい時間が経ったのか分からなかった。


 美月姫はベッドに横たわったまま、枕元のデジタル時計を確認した。


 まだ闇夜だが、程なく東の空は明るくなり始めるだろう。


 「どんなこと?」


 「美月姫、幹事長に言い返したんだって? 公約を破るのは政治家の特技だとかそんなようなこと」


 苦笑しながら優雅は口にした。


 「……言ったような気がする」


 「幹事長、笑っていたよ。恐れを知らない女だって。美月姫のこと」


 「殺されると思った……」


 今考えると大胆すぎる発言。


 でもその時は、屈辱的な言葉をぶつけられた怒りのあまり、思わず言い返してしまった。


 この国の実質的な最高権力者に対して。
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