四百年の誓い
 その時だった。


 バッグの中に入れたままの携帯電話が、振動を始めた。


 (まずい)


 かしこまった場なのでマナーモードにしておいたものの、振動は大きくかなり響いている。


 そろそろ優雅からのメールが届く頃だ。


 毎日恒例の。


 「……の?」


 「え?」


 京が何か美月姫に告げたのだが、美月姫は聞き違いかと思った。


 なぜならば、


 「携帯ブーブー鳴っててうるせえんだけど」
 

 先ほどまでの紳士的な振る舞い、穏かな口調からは考えられない発言だったからだ。


 「出れば? 俺別に構わねえけど」


 京は冷たい目で美月姫に言う。


 あの優しいまなざしとは別人のよう。
 

 「け、結構です。これ着信じゃなくてメールですから。後からで」


 京の豹変ぶりに混乱しながらも、美月姫は何とか言い返した。


 「ふーん。後からのお楽しみってわけか」


 京は吐き捨てた。
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