四百年の誓い
 「なぜそこまで」


 「それが幹事長のご意向だからだ」


 丸山幹事長の意向。


 やがては優雅を自らの後継者に据え、自らの権力を継承させる。


 のみならず自らが達成できなかった夢、いずれは優雅に総理大臣の椅子をと目論んでいるらしい。


 そのためには邪魔者は、どんな手段を用いても消していく。


 (私は……消すにも値しない存在)


 優雅の将来に邪魔になるであろう自分を、今のうちに優雅と別れさせて。


 代わりにこの京をあてがっておこうというのが、丸山の企み。


 幸いなことに京は優雅によく似ていて、身代わりとしてはこの上ない存在……。


 「幹事長には叔父としてもだけど、政治家としても大変世話になっている。言葉では言い尽くせないほどの」

.
 京の言葉には迷いがない。


 「あなたは、それで平気なんですか?」


 「どういう意味だ」


 「叔父である幹事長の命令ならば、そんな話に乗るんですか」


 「幹事長の望みとあらば、俺は従うまでだ」


 「いくら幹事長の意向だからって、好きでもない相手と結婚して平気なんですか」


 少しも表情を変えない京に、美月姫は質問を投げかけた。
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