四百年の誓い
 「……本心では、優雅の手の付いた女など謹んでご辞退したいところだが」


 京は美月をちらっと見た。


 蔑むような視線。


 「幹事長が俺とお前との結婚を望むなら、それを実行するまでだ」


 少なくともこの男からは、自分への愛情の欠片も感じられなかった。


 丸山幹事長が(優雅と美月姫を引き離すために画策し)望むから、彼は黙って従うだけ。


 好きとか嫌いとかそういう私情は挟むことなく。


 「本当にそれでいいんですか」


 「幹事長の言うことに従っていれば、間違いはない」


 京は断言した。


 「でも絶対変だと思います。第一私は、あなたと結婚するつもりはありません」


 「お前に拒否権はない。どうしてもこの話を拒むなら、さっきまで同席していたお前の両親や父親の会社、この先どうなっても責任は持てないぞ」


 丸山は美月姫の周囲を一種の「人質」に、この話を強引に進めようとしているらしい。
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