四百年の誓い
 「私がこの話をお断りしたら、どうするつもりなのですか」


 「まあ、誰の得にもならないのは確かだろうな」


 「私を脅すんですか。しかも両親や父の会社までも巻き込んで……。卑怯です。家族や父の会社に迷惑をかけるようなことは、絶対にやめていただけませんか」


 「お前、周囲の心配してる余裕なんてあるの?」


 京は美月姫の嘆願など意に介していない様子で、あざ笑うのみだった。


 「周りの心配している暇があるのなら、自分の心配でもしてれば?」


 「どういう意味ですか」


 「能天気な奴だな。……お前、優雅とのこと親に隠してるんだろ」


 「……」


 「手塩にかけて育てた可愛い一人娘が、大物政治家の息子の遊び相手にされてると知ったら、お前の両親は怒り狂うんじゃないのか」


 優雅との関係は、卒業するまで限定の、体だけの関係に留めておくようにと幹事長に釘を刺されている。


 「だから黙っているんです。もしもそんなことを知ったら、うちの両親はきっと、幹事長を許さないと思います」
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