四百年の誓い
 ……。


 「ここのラウンジ、幹事長の接待の席で同行したことがあるんだけど、見晴らしいいんだ」


 札幌市内、有名ホテル最上階のラウンジ。


 円形のラウンジは360度ガラス張りになっていて、夜景が四方に見渡せる。


 深山京(みやま きょう)はまめに美月姫に会いに来て、婚約者としてデートを重ねる。


 もちろん丸山乱雪に促されての行動であるが、何のためにそこまでするのか美月姫には到底理解不能だった。


 (私と優雅くんを引き離すためであることは重々承知だけど……。だからってどうしてここまで?)


 わざわざ北海道まで訪れ、美月姫をデートに連れ出す彼の本心が分からなかった。


 渋々同席する美月姫ではあるけれど、彼が語る丸山乱雪自身の話や、会食した相手・・・政治家、財界人、芸能人、スポーツ選手などなど。


 国内外を問わない有名人との交流の話は確かに興味深い。


 つい聞き入ってしまう。


 顔も声も、優雅によく似ている。


 時を共にしているような錯覚に陥る。
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