四百年の誓い
 そして毎回のように、札幌でも有名な高級料理店や、若者同士の付き合いではなかなか足を踏み入れることのないような、ステイタスの高い場所に連れて行かれて。


 優雅に対しては罪悪感を覚えつつも、京との時間を満喫してしまう。


 美月姫がおとなしくさえしていれば、京は辛辣な言葉を口にしたりしない。


 周囲からすれば、ちょっと年の離れた幸せそうなカップルに見えていることだろう。


 幸せそうな。


 美月姫はふと、眼下に拡がる夜景を眺める。


 何度か優雅のそばで、時間が過ぎるのも忘れて見入ったのを思い出す。


 最近、優雅はこれまでになく多忙な日々を過ごしている。


 大学が間もなく試験期間に入るので、試験の一週間前は勉強に集中するようにと、丸山幹事長からのお達しが。


 「そこまでしなくても。十分頭に入ってるんだけど」


 高校までの試験だったら、大して勉強しなくてもよい成績を収めていた優雅だったものの。


 大学の試験ともなれば、レポート形式のものもあり、ある程度の準備が必要だ。


 そして試験とは別に、レポートや研究結果の提出なども多い。


 「全部『優』じゃないと、美月姫と会っちゃダメだって幹事長が」


 先日の優雅からの電話によると、またしても幹事長が無理難題を吹っかけてきたらしい。
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