四百年の誓い
 優雅から電話がかかってきて、駆け落ち計画を打ち明けられたのが昼前。


 その後優雅は直ちに準備を済ませ、公共交通を乗り継いで羽田空港へと向かった。


 「銀行のお金を下ろしたり、航空券をクレジットで購入したりしたから、勘付かれたのかもしれないけど……」


 空港までの道のり、尾行には細心の注意を払っていたが、怪しい人物には気がつかなかったという。


 「向こうは尾行のプロを雇っていた可能性もあるし。断定はできないけどね」


 結局いつばれたのかは、憶測の域を出なかったものの。


 空港での搭乗手続きの際、セキュリティチェックで携帯電話をカゴに入れて預けたわずかな隙にすり替えられたんじゃないかと優雅は推測する。


 その後電源をオフにして、すぐに機内に乗り込んだから、電話の異変には気がつかなかったとのこと。


 「津軽海峡を越えている頃だったかな。いきなり函館空港周辺がコンディション不良により、着陸できないって。上空をしばらく旋回し続けて。回復しない場合は新千歳か旭川空港に着陸するかもしれないってアナウンスが入って、びっくりしたよ」
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