四百年の誓い
 「ということは京さんは、次の便で先回りしてここに来たってこと? 幹事長と一緒に、長野県に滞在していたはずなのに、どうしてこんなに早く」


 「でも俺の乗っていた羽田発函館空港行きは、今日の最終便だったし」


 「そっか。元々本数少ないしね」


 京が仮に新幹線で東京まで移動したとしても、そこから優雅の乗る便には間に合わない。


 「考えられるとしたら、長野県の信州松本空港から、新千歳に飛んだんじゃないかな。一日一便あるし、新千歳から車を飛ばせば、俺より先回りは可能」


 推理小説やサスペンスドラマのアリバイ作りのような手段で、京は優雅に先んじてここに辿り着いたのだろうか。


 「そこまで手の込んだことを……」


 「俺が美月姫と駆け落ち計画を立てているのを知って、完璧に阻止する作戦に出たんだろう。この期に及んでは、俺たちの仲を決定的に裂く手段を用いるしかないと、向こうも少々荒っぽいことを」


 「……」


 優雅の到着が、もうちょっと遅かったら?


 間違いなく京に手篭めにされていただろう。


 美月姫は身震いした。
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