四百年の誓い
 「美月姫、大丈夫だった?」


 「……」


 いたわるように、肩に触れながら尋ねられたものの。


 美月姫は答える気分にはなれなかった。


 未遂に終わったとはいえ、他の男に襲われているところを見られたのが恥ずかしい。


 「ごめん。俺がもうちょっと早く異変に気付いていれば」


 「違う。優雅くんのせいじゃない。私も軽率だったし、注意力が欠けていた」


 今考えると、一連の優雅からのメール。


 通話を禁じたのも、電話は電源をオフにしておくようにと指示されたことも、今になってみれば不自然。


 「京さんか、他の手下の誰かか分からないけれど、俺の携帯を盗んだ何者かがなりすましメールしていたんだ」


 それらのメールを発信したのは、優雅ではなかった。


 美月姫は全く気付かずに……。


 メールで指示されるがままに行動し、危なく京の罠に落ちるところだった。
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