四百年の誓い
 「そもそもの発端は、俺だから。俺がいきなり駆け落ち計画を美月姫に持ちかけて、その時から冷静な判断力を美月姫から奪ってしまっていた」


 「優雅くん……」


 このログハウスにたどり着く前、やっぱりこの計画は中止しようと説得するつもりだった。


 そこで話がまとまっていれば、美月姫に急に会いたくなっての突発的な行動、若さゆえの暴走として、幹事長も大目に見てくれたかもしれなかった。


 だがここまで話が大きくなってしまっては……。


 もうただでは済まないように思えた。


 穏便な解決策はもう存在しないような気もした。


 投降すれば……二度と会うのを禁止されたまま、優雅はアメリカに旅立たなければならないだろう。


 ここから逃げ出せば……すでに包囲網を敷かれている可能性大なので、捕まってしまえばもう会えないかもしれないのは分かっている。


 逃げ切れたとしても、名を捨てて身を隠して、本当の幸せを得られるのだろうかという不安は、ここに来るまでずっと頭の中を巡っていた通り。


 「優雅くん」


 何が一番いい方法か、美月姫は考えあぐねて優雅を見た。


 目が合った瞬間。


 天窓から注ぎ込む月の光に導かれるかのように、唇が重なった。
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