四百年の誓い
 「お前が清水と結ばれるのは、前世から定められた運命だったんだよ。誰にも邪魔なんてすることができないのさ」


 「え?」


 「いや……。お前たちは運命の恋人ってことだ」


 前世の記憶のない美月姫を混乱させないように、圭介はごまかした。


 あの日愛するがゆえに突き放したのは、前世からの宿命である優雅の元へと返すため。


 しかし前世の話をしても、美月姫は励ますための作り話だと誤解するかもしれないし、余計なことは言わないほうがいいと圭介は判断した。


 「どうも違うみたいです。私たちはたぶん、この世では結ばれない運命なんです」


 「……どういう意味だ?」


 美月姫は圭介に伝えた。


 優雅の父親である与党幹事長・丸山乱雪は、美月姫と優雅の結婚を許さなかったこと。


 引き離すために幹事長は甥の京を美月姫に婚約者として与え、美月姫の父親やその会社関係者を抱き込み、包囲網のようなものを築きつつあること。


 そればかりか優雅を強引に、アメリカに留学させようとしていること……。
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