四百年の誓い
 (せっかく生まれ変わって、自由な現代に生まれてきたのに)


 そして同情した。


 権力により引き裂かれた前世。


 生まれ変わった二人の前に、また権力というものが大きく横たわっている。


 形を変えて、二人の愛を妨げようとしている。


 「お前は何とかして、乗り越えて行きたいと思っているから、俺に相談しに来たんだろ?」


 「先生……」


 「幾重にも張り巡らされた、逃れなさそうに見える鎖を解く手段を探したくて、こうしてここまで、」


 「でも……、もう無理かもしれませんね」


 「え?」


 「先日も、向こうの狙い通りに引き離されるくらいならと思い、何もかもを捨てて逃げようとも計画しました」


 「駆け落ち、か」


 「はい。でも無理でした。全てを犠牲にして、自分たちだけ幸せになるだなんて、できなかったんです。私も優雅くんも」
< 278 / 395 >

この作品をシェア

pagetop