四百年の誓い
紅く染まる街角
＊＊＊


　優雅はアメリカに留学した。


　向こうの新学期に合わせ、渡米。


　美月姫とは何千キロも隔てられ、間には太平洋が無限の広さで横たわっている。


　高額な電話代に悩まされた昔の恋人たちとは異なり、二人はほぼ毎日、メールで連絡を取り合うことができる。


　遠距離恋愛の恋人たちのように。


　時差が約半日あり、生活のリズムが正反対になってしまうため、互いに気が向いた時間にメールを読み、返信する。


　優しい声やメールの文面で、気持ちが繋がっているのは十分に伝わる。


　それでもやはり、直接会うことには変えがたい。


　会いたくてたまらないのをひたすら抑え、次に会える日を心待ちに日々を送る。


　次に会える日はあるのだろうかと美月姫は考える。


　この留学は、丸山幹事長が二人を引き離すために目論んだ計画。


　抗えないまま、二人は数千キロ離れて生きることとなった。
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