四百年の誓い
 「襲撃犯は、その場で幹事長のボディガードたちに取り押さえられました」


 レポーターが最新情報を伝えていた。


 「警視庁の発表によりますと、自称・右翼団体の男で、調べに対し『社会秩序を乱す幹事長が許せなくて、単独で襲撃した』と答えている模様です」


 自称・右翼団体の男。


 単独犯。


 「彼はあくまで実行犯で、黒幕が背後にいるんじゃないか」


 圭介がつぶやいた。


 「どういうことですか?」


 「犯人の男が、右翼団体でどの程度の活躍をしているのかは不明だが、単独で幹事長を付け狙い、隙を窺い続けるにも限度があるんじゃないかな。幹事長だって万全の警護態勢を敷いてるんだし」


 「……」


 この日はたまたま、上京した紫を囲んでの、家族の晩餐。


 万全の警護態勢に、一瞬の隙が生じたのだろうか。


 強引な改革を進める以上、反対する者は多い。


 だが現状では、幹事長の権力には逆らえない。


 いっそのこと幹事長が消えれば……と願っていた者は、少なくなかったともいえるかもしれない。
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