四百年の誓い
 襲撃の模様がかなり明確に明らかになった。


 暴漢は通行人に紛れて、幹事長に接近。


 そして刃物を手に突撃した。


 とっさによけたので、かすり傷程度で済んだと思われる。


 ところが第二波が、幹事長を庇おうとした優雅を直撃した。


 次の第三波、崩れ落ちる優雅を今度は幹事長が守ろうとしたため、さらに深手を負ってしまったようだ。


 ボディガードのボブは車の運転席のほうに立っていたため、暴漢を発見するのが遅れた。


 京は店内で会計をしていたらしく、間に合わなかった。


 他にも幹事長を遠巻きに護衛している者たちはいたはずなのに……。


 年末の街の賑わいが、危険の察知を遅らせてしまった。


 美月姫は圭介の腕の中で、テーブルの上に置いた携帯電話をちらっと見つめた。


 鳴る気配のない電話。


 優雅は今頃まだ、連絡をする余裕もないのだろう。


 (まさか、意識不明とか)


 考えただけでもぞっとする。


 そのまま圭介の腕の中で、気持ちが落ち着くのを待った。


 ニュースは繰り返し、「丸山幹事長は依然として重態」と伝え続けた。
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