四百年の誓い
 優雅の容態を知りたくて、優雅の母親・紫が経営するキャバレー「夕映霞(ゆうばえかすみ)」に電話をかけてみた。


 年末年始の休業を告げる留守番電話が流れるのみだった。


 優雅の自宅マンションにも突撃してみた。


 ここには一度だけ訪れたことがある。


 あの再会の時の熱い抱擁が忘れられない。


 温もりは今でもこの胸に残っている。


 「……」


 玄関で優雅の部屋番号を打ち込み、来客用ブザーを鳴らすが、反応はない。


 個人情報の問題もあり、他の住人に聞くのも憚られたので、撤退。


 (そうだ先生に)


 札幌近郊の実家に帰省中の圭介にメールをした。


 優雅から連絡があったかどうか。


 速攻返信があった。


 やはり事故後は、一度も電話やメールはないと。


 優雅の母とも、連絡が取れないと。


 ……思い余った美月姫は、深山京にも連絡を取った。


 「珍しいなお前から電話してくるとは。新年のご挨拶か」


 襲撃事件の直後にも一度、京に連絡を入れているが、京は襲撃犯ともみ合った際のかすり傷はあるものの、全く無事だった。
< 313 / 395 >

この作品をシェア

pagetop