四百年の誓い
 「もしもし……?」


 恐る恐る声を出した。


 「美月姫? 俺。優雅だけど」


 懐かしい声が、はるか彼方から届けられた。


 「優雅くん? 大丈夫だったの? 今どこ? どうして公衆電話から? 怪我の具合は?」


 美月姫は質問を浴びせかけた。


 「ごめんね。年末年始はずっと病院で。……入院してたんだ」


 「入院……」


 美月姫は息を飲んだ。


 「携帯電話も失くしちゃって、寝たきりだったから、連絡できなかった」


 「大丈夫なの?」


 「まず携帯電話だけど。暴漢ともみ合った際に落としちゃって。そのまま側溝に落ちていて、もうだめになっていた」


 「……」


 「テレビ見たでしょ? 何回も放送されたよね。幹事長が襲撃されたシーン」


 「うん……」


 「とっさに幹事長を庇って、こっちまで傷を負っちゃった」


 「傷、」


 「あのまま刺されていたら、内臓損傷とかなってやばかったかもしれない。でもあれがあったから助かった」


 「あれ、って?」


 「美月姫にプレゼントされた財布に、暴漢のナイフが突き刺さったから。……命拾いした」
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