四百年の誓い
 「あのお財布……」


 去年のクリスマスプレゼント。


 たまたま街角で目に留め、気に入って。


 自分のと一緒に優雅の分も購入。


 優雅が使っていた財布は古くなっていたし、「ポイントカードが入り切らなくて困る」とぼやいていたのを聞いていたので、大き目なこの財布はぴったりだと思って。


 会う時間がないので郵送した。


 優雅は受け取り、早速使い始めた矢先の、幹事長襲撃事件。


 優雅の下腹部を狙った暴漢の刃は、まさにその財布に突き刺さり衝撃を弱めた。


 「おかげで切り傷数箇所で済んだよ。出血は多かったけど、深手ではないから命に別状はない」


 「よかった……。テレビでも幹事長の容態の報道しかなくて、優雅くんがどうなっているのか全然分からなかったから……」


 「傷は大したことなかったのに、体調を崩してその後もほぼ寝たきりで点滴生活だった。今日辺りから動けるようになって、すぐに美月姫に連絡取りたくて」


 「携帯がなくて、公衆電話から電話してくれたの? 私の電話番号は、どこから教えてもらったの?」


 「何度も目にしている番号を、俺が記憶していないと思う?」
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