四百年の誓い
 ……。


 パーン!


 いきなり乾いた音が鳴り響き、美月姫と優雅は驚いて空を見上げた。


 近隣でイベント開始を告げる花火が、青空目がけて打ち上げられたらしい。


 「私……?」


 美月姫も優雅も、一瞬記憶が飛んでいた。


 二人同時に、白昼夢でも見ていたかのように。


 優雅は、美月姫を愛しく思う際に懐かしく感じる理由が、何となく分かったような気がした。


 遠い昔に愛を誓いながら、権力の力に屈し引き裂かれ、結ばれぬままに命を終えた。


 その悲しみと後悔を背負って再び巡り会ったのに、また遠い昔の過ちを繰り返そうとしていた。


 耐え忍んで踏みとどまり、いつか結ばれる日を願いながら、必死で生きてきた。


 そしてようやく……。


 「美月姫、そろそろ行こうか」


 「うん、お腹もすいたし」


 午後からは福山城跡の博物館を見学する予定だった。


 その前に博物館内のレストランで昼食。


 「早く行かないと、ランチタイムは激混みかも」


 「急がなくちゃ」


 二人は早足で福山城へと向かった。


 さりげなく優雅は、美月姫の手を取った。
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