四百年の誓い
 「来年の春も、また二人でここに来よう」


 「はい」


 「その次の年も、またその次の年も……」


 「私は決して、冬悟さまのおそばを離れません。冬悟さまは私を離さずにいてくださりますか?」


 「約束しよう、姫」


 「はい……」


 柔らかな夜風に包まれながら、二人はそっと唇を重ねた。


 永遠に続く春を信じながら。


 ……だけど二人は知らなかった。


 二人で共に過ごす翌年の春は、決して訪れないことを。


 二人が再び春の時を分かち合うのは四百年の時を経てであろうことなど、想像だにしていなかった。
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