四百年の誓い
　「もっと美月姫と一緒にいたいんだけど」


　肩を抱きながら優雅は言った。


　「今くらいがちょうどいいんじゃない？　あまり四六時中一緒に居たら、飽きちゃうかもしれないし」


　「まさか。美月姫に飽きるなんて」


　優雅には信じられなかった。


　四百年以上も待ち続けて、ようやく巡り会うことのできた大切な人を粗末にできるはずもなかったのだが……それは優雅も気づいていない。


　分かるのは、計り知れない愛しさのみ。


　「ねえ。こんなに早く結婚しちゃって、後悔していない？」


　「えっ？」


　美月姫の突然の問いかけに、優雅は驚いた。


　「どういう意味？」


　「……」


　優雅の母・紫の三回忌を終えた六月に、二人は結婚した。


　まだ二十代前半。


　現在ではかなり早い年齢での結婚だった。


　早まったなどと思うはずもない。


　四百年の孤独は長かった。


　「私がいたら、優雅くんの仕事に影響が出ているみたいだし」


　「影響？」


　優雅は首をひねった。


　「俺が美月姫を好きすぎて、創作に集中できてないってこと？」


　美月姫の肩に腕を回しながら尋ねた。
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