四百年の誓い
 政治家を引退し、悠々自適な日々を送る丸山乱雪。


 現役時代の、近づく者は皆恐れおののき、凍り付いてしまいそうな雰囲気。


 この国最大の権力者として、永田町に長らく君臨していた頃の。


 それが襲撃事件を機に一変。


 体調回復が叶わないのを理由に、任期満了と共に引退。


 優雅を後継者とすることも断念し、地盤は地元事務所の後援会長だった水上が継承することになった。


 「まさかあの水上さんが、お父さまの後継者になるなんて。びっくりした」


 水上は優雅の育ての親だった。


 温和な性格だったが、丸山引退後の選挙区での候補者擁立の際、人柄の良さを請われて立候補するに至ったのだった。


 「水上が、俺の身代わりになってくれるなんて」
< 371 / 395 >

この作品をシェア

pagetop