四百年の誓い
終章
***
……月光姫は福山冬雅(ふくやま ふゆまさ)の手をすり抜けて、立待岬から津軽海峡へと身を投じた。
冬雅の愛を拒絶して。
冬雅は近隣の漁夫たちに命じて、姫の大規模な捜索を行なった。
だが姫は見つからなかった。
身を投げてから数日が経過し、もう生存は絶望視されていた。
さすがの冬雅も、もはや奇跡に一縷の望みを託す以外に術はなかった。
最後は遺体でもいいから、浜辺に打ち上げられることを望んだ。
しかし二度と月光姫の姿は見つからなかった。
その後姫の姿を見た者は、誰もいない。
否が応でもその死を受け入れざるを得なかった。
冬雅も、姫の親たちも。
「そなたたちがついていながら、何たる不始末だ!」
「申し訳ございませぬ……」
冬雅は姫を失った絶望と怒りを、姫の両親である明石家の者たちにぶつけた。
彼らが悪いのではない。
それは冬雅だって分かっている。
が、どうすることもできなかった。
悲しみを自分の中で受け入れられずにいたのだった。
……月光姫は福山冬雅(ふくやま ふゆまさ)の手をすり抜けて、立待岬から津軽海峡へと身を投じた。
冬雅の愛を拒絶して。
冬雅は近隣の漁夫たちに命じて、姫の大規模な捜索を行なった。
だが姫は見つからなかった。
身を投げてから数日が経過し、もう生存は絶望視されていた。
さすがの冬雅も、もはや奇跡に一縷の望みを託す以外に術はなかった。
最後は遺体でもいいから、浜辺に打ち上げられることを望んだ。
しかし二度と月光姫の姿は見つからなかった。
その後姫の姿を見た者は、誰もいない。
否が応でもその死を受け入れざるを得なかった。
冬雅も、姫の親たちも。
「そなたたちがついていながら、何たる不始末だ!」
「申し訳ございませぬ……」
冬雅は姫を失った絶望と怒りを、姫の両親である明石家の者たちにぶつけた。
彼らが悪いのではない。
それは冬雅だって分かっている。
が、どうすることもできなかった。
悲しみを自分の中で受け入れられずにいたのだった。