四百年の誓い
***


 高校時代の担任・圭介(けいすけ)と浜辺での別れのキスから、秋と冬を越えて再び春が来た。


 美月姫はゴールデンウィークに合わせて、故郷・函館に帰省。


 帰省直前に、函館は桜の開花宣言。


 滞在中に満開を迎えていた。


 「大村、久しぶりだな」


 「久しぶりじゃないですよ、先生。たった一ヶ月ぶりじゃないですか」


 休みの帰省の際も、美月姫は母校・紅陽(こうよう)学園の圭介の元を訪れていた。


 そして今回も。


 去年の初秋、浜辺でのキスをピリオドに、恋愛感情には封印したはずだった。


 だけどこうして、また会いに来てしまう。


 ただの恩師と教え子として接しようと決意したはずなのに……。


 会うと未だに胸が痛む。


 感情に封印はしていても、求める想いが胸の内側で暴れていた。


 (今でもこんなに先生が好きなんだ……)
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