四百年の誓い
すみれ色の夢
***
「大村さん、この前一緒に札幌駅を歩いていたのが、噂の東京の彼?」
「えっ」
「この前見たよー。ほら私のバイト先、札幌駅のドーナツ屋さんだから」
大学の授業の合間、同じ専攻の女子に話しかけられた。
ゼミが違い、講義で顔を合わせる程度の子だったが、美月姫が好きな人がいるからと同じ学部の男子を振った話は伝わっていた。
美月姫には好きな人がいる、高校時代好きだった相手は東京の大学に進学した、同級生を振った……などの情報は以前から広まっていた。
それらを予備知識として、札幌駅を優雅と歩いていた美月姫を目撃した彼女は、当然優雅を美月姫の彼氏だとみなした。
(そういえば優雅くんと私の関係って……?)
彼氏、と表現するのに抵抗がある。
正式に交際を申し込まれ、それを受け入れ、恋人としての関係は続けているとはいえ。
不倫など道に外れた関係ではないにもかかわらず、家族にさえ公表できない秘密の間柄。
「大村さん、この前一緒に札幌駅を歩いていたのが、噂の東京の彼?」
「えっ」
「この前見たよー。ほら私のバイト先、札幌駅のドーナツ屋さんだから」
大学の授業の合間、同じ専攻の女子に話しかけられた。
ゼミが違い、講義で顔を合わせる程度の子だったが、美月姫が好きな人がいるからと同じ学部の男子を振った話は伝わっていた。
美月姫には好きな人がいる、高校時代好きだった相手は東京の大学に進学した、同級生を振った……などの情報は以前から広まっていた。
それらを予備知識として、札幌駅を優雅と歩いていた美月姫を目撃した彼女は、当然優雅を美月姫の彼氏だとみなした。
(そういえば優雅くんと私の関係って……?)
彼氏、と表現するのに抵抗がある。
正式に交際を申し込まれ、それを受け入れ、恋人としての関係は続けているとはいえ。
不倫など道に外れた関係ではないにもかかわらず、家族にさえ公表できない秘密の間柄。