四百年の誓い
 「訳分かんない夢……」


 ソファーから起き上がりながら、美月姫は独り言をつぶやいた。


 部屋はまだ暗い。


 夜明け前かな……と、テーブルの上に置いたままの携帯電話を開く。


 午前二時半。


 夏至間近の札幌の夜は、明けるのが早く。


 この時間にはすでに東の空は明るくなり始めている。


 ……昨日あれから美月姫は無理やりバスターミナルに送り届けられ、予定よりかなり早いバスで札幌に戻った。


 午後には札幌に入り、バスを降りて地下鉄に乗り換え、寮へと直行し、部屋の鍵を開けた。


 テレビをつけてニュースなどをぼんやり眺めながらソファーに横たわっているうちに、そのまま眠りに落ちてしまったようだ。


 相当疲れていたらしい。


 まだ明るいうちに眠ってしまったので、午前二時半というとんでもない時間に目が覚めてしまった。


 優雅は……そのまま水上の車に乗せられ、空港へと連れて行かれた。


 恩師である圭介と再会する予定も、キャンセルせざるを得なかった。
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