四百年の誓い
 「今さら、生き方を変えることなどとんでもない話だと……」


 月曜日の夕方。


 大学の授業を終え、帰宅途中だろうか。


 優雅から電話があった。


 丸山の目につかないよう気をつけているのか、歩きながら電話をかけてきた。


 すでに帰宅していた美月姫は、黙って優雅の言葉を聞いていた。


 「俺の婚約話。一度交わした約束をたがえることは許されないと、あっさり切り返された」


 「……」


 ある意味予想通り。


 「美月姫との結婚は、絶対に許さないけど。結婚までと割り切って付き合うのは黙認する、とも言われた」


 「それって、期間限定の体の関係ってこと?」


 「ごめん……。こんな話、美月姫も嫌だよね」


 「いいえ。優雅くんがそう望むのなら、私は……」


 束の間でも、一緒にいられるだけでいいと願った。


 そうなれば別れた後、さらにつらくなるのは分かっていたのだけど。
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