二人の穏やかな日常

「それが聞いてくださいよー、話せばちょっと長くなるんですけど。私ホーリーって友達がいるんですけど、あ、ホーリーもトミーも同じ高校の男の子なんですけどね」


ホーリー、トミー。
なんだ前原さんの周りは外国人の男が二人も。
前原さんは外国人にモテるのか?


「この間ホーリーが女の子二人にすごいキレられてて、まあ二股してたホーリーの自業自得なんですけど、その女の子たちのキレっぷりにトミーが滅茶苦茶ビビって」
「はあ」
「トミーは女の子からちやほやされる人生歩んできたから、そんな女の子見たことなかったらしいんですね。だってその女の子たちホーリー髪の毛毟り出すんですよ」


ホーリーチャラいな。修羅場じゃないか。

笑顔で楽しそうに話す前原さんがちょっと恐ろしい。

前原さんは他人の修羅場にわくわくする質らしい。
俺は自分に関係なくても修羅場にはビビってしまう質だな。


「そんな女の子の恐ろしさを目撃したことと、私に振られたことと、振られたトミーを熱心に励まし続けたホーリー、この条件が揃って、トミーは最近ホーリーにアタックしてます」
「えっ?どういうことですか?」
「つまり男に走ってるんですね、現在のトミーは。ホーリーから〝お前があいつ振ったせいで俺にアタックしてきてるじゃねえかどうすんだよ〟ってガチギレされました」


なんてことだ……。
思わず頭を抱えた。

まだ若い、しかも女の子にちやほやされてきた一人の男子高校生の人生を、狂わせる原因をつくってしまったのか俺は……。
< 107 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop