二人の穏やかな日常

「ななななんで分かっ、あっ、当たりましたか!?」
「いやいやそうじゃなくて、背中触ったら無かったんで……」
「ちょっと待っててください着けてきますから!くそー油断した!」


前原さんは嵐のように家を出て行った。

いくら休みの日とはいえ、ノーブラの女子高生って……ちょっと待て、てことは智輝のやつ……ノーブラの状態で……!?


「くそー許せん……!」


俺は思わず、せっかく前原さんと兄ちゃんが片付けてくれた酒をまた取り出した。

これが飲まずにやってられますか。


前原さんも前原さんだ。
知らなかったとはいえ、今日は兄ちゃんも居たのに。

兄ちゃん、気付かなかったかな……気付いてませんように……。
いやきっと気付いてない、兄ちゃんは気付いたら即効嬉しそうに俺に報告してくるようなやつだから。


「すみませんお待たせしました斎藤さん!いやーお見苦しいところを……!忘れてくださいね!別に私、いつもノーブラなわけじゃないんで!決してそうじゃないんで!」


キッと睨み付けると、前原さんは脅えたようにビクッと肩を揺らした。


「前原さん!」
「はいっ!」
「ちょっとそこ座りなさい!」
「はいっ……」


前原さんは光の早さで俺の前に滑り込みで正座をした。
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