二人の穏やかな日常
翌朝、最悪な目覚め。
二日酔いなんていつぶりだろう。
昨日のことがよく思い出せない。
昨日は兄ちゃんと智輝が来て……飲んで……帰って……そうだ前原さんがノーブラだった、だから説教かましたんだ……。
そこまで記憶を辿ったところで、さーっと血の気が引いた。
説教?どんな?どんな説教?何を言ったっけ?
駄目だ思い出せない……!
そもそも前原さんはいつ帰ったんだ、いや多分俺が寝てしまって帰ったんだろうけど……!
テーブルの上を見ると綺麗に片付けられていた。
前原さんごめん……。
とりあえず落ち着こう落ち着いてからいろいろ思い出そう、と、まずはカラカラの喉を潤わすため台所に向かった。
コップを取り出して水道をひねろうとしたとき、隣のコンロの上にお鍋が置かれてあるのに気付いた。
置いてたっけな?
不思議に思って蓋を開けると、香ばしい味噌汁。
感動して思わず涙が出そうになった。
朝起きて勝手に味噌汁が出来てるなんて、こんなの何年ぶりだろう。
「前原さん、愛してます……」
お椀に味噌汁を入れて、いただきますの代わりにそんな気持ちの悪い言葉を一人で囁いた。