二人の穏やかな日常

「自分が何言ってたか、気になります?」
「まあ……」
「言っても良いけど、斎藤さん恥ずかし死にしちゃわないかな~」


前原さんはイタズラに笑って、今度は自分も唐揚げを食べた。


「やっぱ知るの怖いんで良いです……」
「その方が良いですね。でも不思議ですよね、アルコール入るだけで普段聞けない斎藤さんの本音がばんばん聞けるんですもん」
「お酒は人を変えますね……恐ろしい。まだ気持ち悪いし」


前原さんの味噌汁で大分ましにはなったものの、二日酔いは二日酔い。

ついでに昨日の自分が相当なことを言ったらしいと分かって更に気分が悪くなった。気がする。


「やっぱりアルコールは本来体に入れるようなもんじゃないってことなんですかね」


前原さんの素直なそんな言葉が胸に突き刺さる。
これからは記憶がなくなるくらいに飲むのはやめよう。


「私はお酒飲んだらどうなるんですかねー」
「飲んだら駄目ですよあと三年は」
「わ、分かってますよ……。でも、じゃあ斎藤さんはどうなってほしいですか?私に。お酒飲んだら」


どうなってほしい……できれば大人になってもあまり飲んでほしくはないけど。
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