二人の穏やかな日常

でも酔ってる女の子っていうのは、何割増しか可愛く見えるっていうのはある。不思議だけど。

前原さんのとろんと酔った姿を想像して、勝手ににやけた。

いけないけない。


「……キス魔?」


ただ誰彼構わずキスするんじゃなくて、勿論俺限定で。だけど。


「斎藤さんキスお好きなんですね」
「好きな人とするキスは誰だって好きでしょう。前原さんは違うんですか?」
「……はあ、したことないので、なんとも」


そういえばそうか。と納得。

一回前原さんのオデコにちゅーしたことはあったけど、それ以来はオデコもそれ以外もないんだ。


……もしかして、もうそろそろ、良いんだろうか。


「じゃあ、しま……す?」
「えっ」


シラフの状態なのに俺は結局また変なことを言っている。もしかして元々変な奴だったんだろうか。

キスする前から前原さんは、見事に顔を赤くしていく。


「じ、じゃあ……お願いします」


真っ赤な顔で言われて俺はなんというか、うっ、となった。
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