二人の穏やかな日常

「おー!もしかして斎藤さん!?まえほっぴーの彼氏じゃないですか!?」


いっちょまえにドレスの裾を掴んで引きずらないように注意しながら、彼が俺の側まで駆け寄ってきた。


「ま、まえほっぴー……?」
「あ、斎藤さん彼が例のホーリーです、そしてまえほっぴーは私のあだ名です」


なんてヘンテコなあだ名なんだ。ていうか。


「ホーリーって、日本人ですか……」


てっきり外人か、そうでなくてもハーフだろうと思っていたんだけど。


「生まれも育ちも日本の堀井拓海、堀井だからホーリーですはじめまして!すげー……やっぱ足長いっすねー!イケメン!」
「いやそんな、はは」


なんだ前原さんの話を聞いていたらチャラ男でどうしようもないやつなのかと思ってたけど、良いとこあるじゃないか。

と、単純な俺は軽く誉められただけで気を良くした。


「そうだ斎藤さん!ちょっとお話が!おいまえほっぴーちょっとだけ斎藤さん借りるぞ!」
「え?ちょっとホーリーもう始まっちゃうよ」
「良いから良いから!本番には間に合わせる!」


と、きょとんとした前原さんと兄ちゃんと智輝を置いて、俺はなぜかシンデレラドレスを着た堀井くんに連れられた。
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