二人の穏やかな日常
「おう王子!これからよろしくな!」
「ああ!」
そう言ってシンデレラは、王子と男同士熱い握手を交わして抱き合った。
それはどこからどう見ても、恋人同士というより、熱い友情だ。
幕が下がる。
ざっと言えばそのストーリーは、シンデレラが魔法使いにも頼らず一人自分の力で幸せを掴むという話だった。
終始無茶苦茶ではあったけど、こういうシンデレラも素敵かもしれない。
前原さんは劇中何度か、「あ、あれ私が作ったんですよ!」と小道具を指差して嬉しそうに報告してきて、それが可愛かった。
「俺の知ってるシンデレラじゃない……でもウジウジして言いなりになってばっかで、結局魔法に頼る女よりこっちの方が良い」
「君は若いのになかなか見る目があるな!」
智輝の率直な感想に嬉しそうにそう言って、智輝の頭を撫でたのは、さっきまでは舞台でドレスを着ていた、ホーリーくんだった。
「え、あれ、シンデレラ……?」
「おう!シンデレラだ!」
「わー!すげー!」