二人の穏やかな日常
まるで有名人と会っているかのように興奮する智輝。
ホーリーくんは舞台袖で着替えたのか、既に制服姿になっており、手元にあのドレスがある。
「おうまえほっぴー、これ着ろよ」
「え、やだよ汚い。なんで?」
「汚くねーよ失礼な!お前どうせいっつもジャージ姿しか見せてねえんだろ?今日くらいこういう格好して文化祭楽しめよ彼氏と」
前原さんが言葉に詰まって、俺のことをおずおずと見た。
「着てみせてください」
「さっきもしかしてこの話を二人で……分かりました着ます、けど……笑わないでくださいね」
そう言って承諾した前原さん越しに、ホーリーくんはウインクをかましてきた。ナイス。
「笑いませんよ」
「え、お姉ちゃんもシンデレラになんの?やったあ!」
「良かったなー、智輝」
「そうと決まれば俺はさっさと異装届出してくるわ。髪とかちっちにやってもらえよまえほっぴー」